整腸効果や代謝促進効果があり健康や美容に効く甘酒。
栄養が豊富に含まれ、体に良いのはわかるけれど、その理由とされる麹ってそもそも何?発酵ってどういうこと?と素朴な疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。
今回は、甘酒が作られる工程にある麹や発酵について詳しく解説していきたいと思います。
■麹とは?
麹とは、麹菌という白カビの一種を繁殖させたものです。
カビと聞くと、毒があって食べられないものというイメージがありますが、麹菌は毒を作ることができない菌です。
麹菌による食の事故はこれまでに一度もなく、安全性が保証されています。
日本の気候風土に繁殖条件が合っているため、日本には甘酒以外にもしょうゆやみそなど麹菌によって作られる伝統的な発酵食品が多く存在します。
麹菌をふりかけた米などを、約30℃で湿度を一定に保った室の中で3〜4日ほど寝かせることで、麹菌を繁殖させます。
このときに100種類以上の酵素やビタミン類が発生し、この繁殖作業を製麹と言います。
菌糸が米などを覆い尽くして、酵素がたっぷり出たものが麹と呼ばれるものです。
この酵素が食品の味や私たちの健康に様々な効果をもたらします。
■酵素とは?
では、麹菌が繁殖する際に発生する酵素とは一体何なのでしょうか?
酵素とは、簡単にいうとハサミのような役割をするものです。
酵素には、でんぷんやたんぱく質などの成分を分解する働きがあり、麹菌から発生する重要な酵素は、アミラーゼ(でんぷん分解酵素)とプロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)の二つが主です。
だんご状に連なった形のでんぷんやたんぱく質を、酵素がハサミの役割をして小さく切り離すことで、でんぷんはブドウ糖(甘み)に、たんぱく質はアミノ酸(うまみ)に変化します。
このブドウ糖やアミノ酸が味に深みをもたらすと同時に、麹菌が増殖するための栄養源となり、私たち人間の体にとっても有益な栄養素となります。
麹菌の酵素が最も活発になる温度は60℃前後なので、甘みやうまみ、栄養素たっぷりの甘酒は、この温度を保ちながら丁寧に作られています。
■発酵とは?
このように、麹菌などの微生物によって酵素の力が働き、でんぷんやたんぱく質が分解される化学反応を「発酵」といいます。
逆に、微生物の働きによって人が食べられない状態に変化する場合、その現象は「腐敗」として区別されています。
甘酒以外にもしょうゆ・みそ・酢などの調味料、納豆や漬物、ヨーグルトなど私たちが普段口にしている多くの食品が発酵によって作られています。
さらに、日本酒や焼酎なども製造工程で発酵が行われています。
このような発酵食品は、麹菌による発酵のおかげで甘みやうまみが増幅し、栄養価も高まり、消化・吸収を楽にするなど、魅力いっぱいの食品になっています。
当社で甘酒に関するアンケートを実施した結果、約9割の方が発酵食品を意識的に摂取しているという結果となりました。
このように、私たちの健康を支える発酵食のベースには、麹菌や酵素、発酵といった日本に古くから伝わる知恵や文化が密接に関わっているのです。
written by コスメコンシェルジュ篠田
◆関連記事◆
●甘酒が「効く」ワケ
●甘酒が免疫を高める
●甘酒は美容にいい?
●肌は腸の鏡
●食の研究家が語る「コメとマメ」のススメ