アトピー性皮膚炎の患者は、日本に約45万6千人いるとされています(平成26年現在)。
その約80%が44歳以下で、20〜30代では全体の約9%の人が罹患しているとのデータがあります。
原因や治療法が明確でなく、繰り返す症状に悩む人も多いアトピー性皮膚炎。
原因や予防法、日常のケアなどについて、考えてみましょう。
●原因の特定や確実な治療が難しい!?
とにかくかゆい、粉をふいたようにカサカサしている、全体に赤い、掻きむしってじゅくじゅくしているなどの症状が現れるアトピー性皮膚炎。
アレルギー体質の人や、皮膚の保護機能が弱い人に起こりやすく、掻きむしっては悪化するという悪循環に陥る場合も多々あります。
アトピー性皮膚炎の症状が出ている時の肌は、皮脂の分泌量が極端に少なく、角質層の水分を保つ力が弱い状態です。
肌が乾燥しやすいだけでなく、皮膚が本来もっているはずのバリア機能が低下し、外界の刺激をブロックする力が弱り、ちょっとした要因でトラブルを起こすのです。
アトピー性皮膚炎は、原因の特定が難しく、根治させる治療法も確立されていないのが現状です。
というのも、原因は遺伝や体質、食生活の悪化や不規則な生活スタイル、ダニやハウスダスト、花粉のようなアレルゲンになりうる環境的要因、搔きむしりや洋服の擦れといった物理的刺激など様々なのです。
●症状が出たら生活習慣の見直しを
アトピー性皮膚炎の症状の改善には、まず、考えられるアレルゲンをできる限り除去することが大切です。
肌や生活環境の清潔を保ち、規則正しい生活を心がけましょう。
春から秋は、紫外線対策も重要。
バリア機能の低下した肌は紫外線の刺激によって炎症を起こす可能性がありますし、紫外線を浴びることによって乾燥が進むこともあるからです。
日焼け止めクリームを塗り、肌の露出を控える他、帽子や日傘の使用も効果的です。
また、掻きむしって悪化するのを防ぐため、かゆみを抑える工夫も有効です。
身体を温めすぎないようにお風呂のお湯はぬるめにし、長湯は控えましょう。
辛いものを食べたりお酒を飲んだりといった血行が良くなることも、控える方が無難です。
●スキンケアはとにかく保湿、適切な乾燥対策
先に述べたように、アトピー肌は、著しく乾燥が進んでバリア機能が低下した状態。
まず、肌表面を保護してバリア機能をキープすること、そして、角質層に水分を補い、バリア機能を取り戻すことが重要です。
そうはいっても、むやみやたらに高価なクリームや美容液を塗れば良いというわけではありません。
肌のバリア機能低下は、角質層にある細胞間脂質の不足ですから、その主成分であるセラミドや、セラミドと同じ働きをするレシチン、ヒアルロン酸やアロエエキスなどの保湿成分を配合したものが良いでしょう。
そして、美容成分補給の前に、肌表面に残りがちな古い角質を、マッサージなどで優しく取り除くと、より効果的。
いずれも、肌に刺激となる、アルコールや香料、合成界面活性剤などの成分が、極力入っていないものを選ぶことが大切です。
根治が難しいとされるアトピー性皮膚炎ですが、適切なスキンケアとライフスタイルへの注意で、症状は最小限に押さえられるはず。
アトピー自体がストレスにならないように、確実な対策と予防策を講じておきたいものですね。
Medical Skin Care Specialist(M.S.C.S)
レイチェルワイン